霊山(旧町名)(読み)りょうぜん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「霊山(旧町名)」の意味・わかりやすい解説

霊山(旧町名)
りょうぜん

福島県北東部、伊達郡(だてぐん)にあった旧町名(霊山町(まち))。現在は伊達市霊山町地区で、市の中部に位置し、霊山の西側、広瀬川の中流域を占める地域。旧霊山町は、1955年(昭和30)掛田(かけだ)町と石戸(いしど)、霊山、小国(おぐに)の3村が合併して成立。2006年(平成18)伊達、梁川(やながわ)、保原(ほばら)、月舘(つきだて)の4町と合併して市制施行、伊達市となった。国道115号、349号が通じる。相馬市境の霊山には平安時代に霊山寺が建立された。南北朝時代には北畠顕家(きたばたけあきいえ)が霊山城として拠(よ)り、南朝方の重要拠点となった。中心地区の掛田は広瀬川の支流小国川の中流域にあり、室町時代に懸田氏(かけたうじ)が拠った茶臼館(ちゃうすたて)(古城山)があり、根小屋起源の村と思われる。近世は蚕種、生糸の生産地で、近代には「掛田折返し糸」で知られ、養蚕伝習所もあった。また川俣(かわまた)街道の宿場でもあった。大石(おおいし)川沿いには霊山山頂にあった霊山寺の法灯を継ぐという霊山寺や、北畠顕家らの一族を祀(まつ)る霊山神社がある。養蚕は衰退したが、施設園芸、果樹栽培、シイタケ栽培などが行われる。霊山は国指定史跡・名勝で、霊山県立自然公園域。

[安田初雄]

『『霊山町史』全4巻(1979~1992・霊山町)』


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