零懸(読み)こぼれかかる

精選版 日本国語大辞典 「零懸」の意味・読み・例文・類語

こぼれ‐かか・る【零懸】

〘自ラ五(四)〙
① 髪などが乱れ落ちて物の上にたれかかる。
※枕(10C終)八三「女房などの、髪うるはしう、こぼれかかりて」
液体粒状のものなどがこぼれ落ちて、物の上にふりかかる。
太平記(14C後)一二「御顔にはらはらとこぼれ懸りける御泪を」
表情態度などにあふれるように現われ出る。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※浄瑠璃・近江源氏先陣館(1769)九「女をなずます目元の塩と、こぼれかかりしなりふりに」
④ あふれるほどに多くの人がよりかかる。
※浄瑠璃・日本振袖始(1718)一「つぼねを始腰元、はした、こぼれかかり乗かかり、のぞき、ささやき」
⑤ (「かかる」は、…し始める、…しそうになるの意) 出産しかける。分娩しそうになる。
※浄瑠璃・奥州安達原(1762)四「お前方もこぼれかかった者を連れて旅するとは大胆な、ドレわしがお腹を見てやろと」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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