雲林院(うりんいん 京都市)(読み)うりんいん

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

雲林院(うりんいん 京都市)
うりんいん

「うんりんいん」ともいう。京都市紫野大徳寺の南にあった寺。現在、雲林院(うじい)の地名として残っている。淳和(じゅんな)天皇の離宮雲林亭が、仁明(にんみょう)天皇の離宮となり、第7皇子常康親王に与えられた。親王はのち出家し、死去に際して天台の教えを伝えるように、法眼(ほうげん)遍昭(へんじょう)(のちに僧正)に付嘱(ふしょく)した。遍昭は元慶寺(がんけいじ)の別院とし、仁明天皇の忌日には『金光明経(こんこうみょうきょう)』を、安居(あんご)の九旬の間には『法華経(ほけきょう)』を講じさせることとした。のち、遍昭の子少僧都(しょうそうず)由性(ゆいしょう)が別当となった。サクラ、紅葉の名所として知られ、古来、多くの和歌に詠まれた。歴史物語『大鏡(おおかがみ)』は、当寺の菩提講(ぼだいこう)(5月に『法華経』を講ずる)に詣でた老人たちと若侍の対話を記録した形をとっている。

[田村晃祐]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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