雪(能)(読み)ゆき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「雪(能)」の意味・わかりやすい解説

雪(能)
ゆき

能の曲目。三番目、鬘物(かずらもの)。金剛流のみが伝える。作者不明。諸国一見旅僧ワキ)が摂津野田までやってくると、にわかの雪となる。晴れ間を待つうちに、雪を頂いた作り物の中から「あら面白(おもしろ)の雪の中やな」と吟ずる声が聞こえ、美しい女性(シテ)が現れて迷いを晴らしてほしいと訴える。僧は雪の精に成仏を勧め、女は袖(そで)を翻して月の光に美しく舞い、明け方の光の中に消える。このシテは雪女ではなく、風に翻る雪そのものであるところに能の主張がある。小品だが特徴ある能。

増田正造

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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