障害者スポーツと企業援助(読み)しょうがいしゃすぽーつときぎょうえんじょ

知恵蔵 の解説

障害者スポーツと企業援助

1998年、長野での冬季パラリンピック以降、障害者スポーツに対する関心が高まり、企業の障害者スポーツへの支援も広がりつつある。従来行われていた選手個人に対する資金や物品による支援形態に加え、近年では、障害者スポーツ関連の団体やチームに対する支援、障害者スポーツ実業団の登場など新たな支援形態も見られる。 ヤフージャパン、日本航空、読売新聞の3社は2005年、日本パラリンピック委員会(JPC)とオフィシャルパートナー契約を結んだ。年間1000万円の協賛金と引き換えに、ロゴの使用権利が与えられるというものだ。トリノ冬季パラリンピック時には、アルペン、およびノルディックチームが4社・団体の協賛を受けた。また、アイススレッジホッケーの代表チームは日立製作所とグループ16社からの支援で、海外遠征や国内長期合宿に自己負担の心配なく臨むことができた。 日立システムアンドサービスは会社のシンボルスポーツとしてスキー部を04年に設立。トリノ冬季パラリンピックのバイアスロン金メダリスト小林深雪選手など選手4人、監督1人が所属し、勤務形態の配慮、遠征費の援助など全面的な支援を行っている。 デンソーは自ら大分国際車いすマラソン大会などの障害者スポーツ大会に協賛、社員ボランティアの派遣を行う一方で、99年、アジアの障害者に対する車いすの普及活動や障害者スポーツ交流、障害児教育支援事業を行うNPO法人アジア車いす交流センター(WAFCA : Wheelchairs and Friendship Center of Asia)を設立し、資金助成をしている。WAFCAの障害者スポーツ関連事業としては、車いすバスケットボールアジア交流大会などの開催、中国タイなどの車いすバスケットボール選手の指導、交流などがある。(藤田紀昭)

(藤田紀昭 日本福祉大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報