陽翰笙(読み)ようかんしょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「陽翰笙」の意味・わかりやすい解説

陽翰笙
ようかんしょう / ヤンハンション
(1902―1993)

中国の劇作家、シナリオライター。本名欧陽本義。四川(しせん)省高県出身。北伐戦争、南昌蜂起(なんしょうほうき)に参加し、のち田漢とともに1930年代の上海(シャンハイ)の左翼演劇運動を地下から指導した。処女作は抗日救国をテーマとした『前夜』(1936)で、武漢の初演後、桂林(けいりん)、香港(ホンコン)、上海、東南アジアで上演された。ほかに、3人の大学教授の解放前後の思想変革を土地改革を通して描いた『三人行(さんにんこう)』(1957)など。シナリオには上海抗戦の事実を描いた『八百壮士(はっぴゃくそうし)』(1938)、児童映画『三毛(さんまお)流浪記』(1948)ほかがある。建国後は行政面で活躍し、「文革」後、『陽翰笙電影劇本(シナリオ)選』(1981)、『陽翰笙選集』(1982)が出版された。中国文学芸術界連合会(文連)副主席もつとめた。

[中野淳子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の陽翰笙の言及

【中国文学】より

…30年の中国左翼作家聯盟(左聯)の成立によって,プロレタリア文学運動はひとまず定着をみせたが,たちまち国民党の過酷な弾圧に遭い,31年には5人の所属作家が銃殺された。左聯は魯迅を事実上の指導者として厳しい後退戦を続けたが,闘いを通じて若い文芸家を数多く育て,そのうち周揚,夏衍(かえん),田漢,陽翰笙(ようかんしよう)などは,人民共和国成立後も長く中国文芸界の指導的地位についた。この間,瞿秋白(くしゆうはく)は,魯迅のかたわらにあって,左翼文芸理論の確立に貢献した。…

※「陽翰笙」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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