陰音階(読み)いんおんかい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「陰音階」の意味・わかりやすい解説

陰音階
いんおんかい

日本の音階一種。最も基本的な形はミ,ファ,ラ,シ,ド,ミというもので,短2度音程が2ヵ所含まれているのが特色。ただし,陰音階による曲でも上行の旋律では,ミ,ファ,ラ,シ,レ,ミという形に基づくことが多い。都節 (みやこぶし) 音階ともいい,この音階に基づく旋法陰旋法ともいう。近世邦楽の音階は,これを基本とする。なおこれは,半音を含まない「陽音階」の対概念として提唱されたものであるが,陽音階については問題が多い。

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世界大百科事典(旧版)内の陰音階の言及

【音階】より

…すなわち,古くは雅楽の〈呂〉〈律〉の対概念を基本として,〈半呂半律〉というような概念まで生じたが,明治以降〈呂旋(法)〉〈律旋(法)〉に整理された。これに対して近世邦楽や民謡などにおける音階または旋法の種類を表す用語としては,〈陰旋(法)〉〈陽旋(法)〉という対語も生まれ,これを〈陰音階〉〈陽音階〉あるいは〈都節音階〉〈田舎節音階〉などという(上原六四郎)場合もある。さらに,田辺尚雄などは,音階と旋法とを区別して,これらの用語を使い分けることもあった。…

【5音音階】より

…しかもこの半音なしのいわゆる陽音階(田舎節(いなかぶし))が5音音階の代表として一つのものと考えられがちであるが,いくつかのタイプが区別され,アジア各地,ヨーロッパ周辺部,アメリカ・インディアン等の音楽の特徴となっている。これらとは別に,半音に近い音程を含むいわゆる陰音階(都節(みやこぶし))の系統も重要であり,たとえばドミファソシと置き換えられる琉球音階,それとよく似たインドネシアのペロッグなどがある。さらに,全音・半音の枠をこえて1オクターブをほぼ5等分したスレンドロ系統の音階が東南アジアで重要である。…

※「陰音階」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」