降魔(読み)ガマ

デジタル大辞泉 「降魔」の意味・読み・例文・類語

が‐ま【降魔】

ごうま(降魔)」の音変化。

ごう‐ま〔ガウ‐〕【降魔】

悪魔降伏ごうぶくすること。

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精選版 日本国語大辞典 「降魔」の意味・読み・例文・類語

ごう‐ま ガウ‥【降魔】

(「ごう」は「降」の呉音)
[1] 仏語。悪魔を降伏(ごうぶく)させること。悟りの妨害となるものをしりぞけること。がま。
※本朝文粋(1060頃)一四・為覚蓮僧都四十九日願文〈大江以言〉「法軍降魔之兵長去」
※九冊本宝物集(1179頃)四「大聖不動明王は、悪業ぼんなうのおんてきをふせがんがために、降魔のすがたを現じ給ふ」
[2] 謡曲。五番目物。廃曲。観世彌次郎長俊作。第六天の魔王は美女に化けて釈尊の悟りを妨げようとするが、かえって降伏させられる。

が‐ま【降魔】

〘名〙 (「がうま(ごうま(降魔))」の変化した語) 悪魔を降伏させること。ごうま。→降魔(がま)の相。〔名語記(1275)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「降魔」の意味・わかりやすい解説

降魔
ごうま

悪魔を退治し降伏(ごうぶく)すること。悪魔の誘惑を克服すること。仏伝によれば、釈尊(しゃくそん)(釈迦(しゃか))が悟りを完成させんがために菩提樹(ぼだいじゅ)の下で禅定(ぜんじょう)に入っていたとき、いろいろな悪魔が甘言をもって誘惑したり、暴威をもって脅迫したが、釈尊はそれらの妨害をすべて退けた。これを「降魔」という。実際は、釈尊が心の中の煩悩(ぼんのう)に打ち勝ったことを表現したものである。仏の一生涯で重要な八つの事件、すなわち八相(はっそう)(降兜率(ごうとそつ)、託胎(たくたい)、降生(ごうしょう)、出家(しゅっけ)、降魔、成道(じょうどう)、説法涅槃(ねはん))の一つ

[阿部慈園]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「降魔」の意味・わかりやすい解説

降魔
ごうま

悪魔を降伏 (ごうぶく) すること。釈迦八相の一つ。釈尊がいままさに悟りに達しようとして菩提道場 (ぼだいどうじょう。悟りを開く場所) に坐しているとき,魔王波旬はその美しい娘をつかわしていろいろに誘惑し,あるいは幾億もの異形の魔軍を送って恐怖させて,その悟りを妨げようとしたが,ことごとく釈尊に降伏され退散させられた。これら魔女や魔軍は人間の煩悩の象徴とされる。

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