阿部彦太郎(読み)あべ・ひこたろう

朝日日本歴史人物事典 「阿部彦太郎」の解説

阿部彦太郎

没年:明治37.5.5(1904)
生年天保11.7.21(1840.8.18)
幕末明治期の近江商人。阿部市郎兵衛家の分家,麻布商阿部市次郎の長男。近江国(滋賀県)神崎郡能登川生まれ。幕末の開港直後から京都で洋反物を活発に取り扱い,攘夷浪人の襲撃標的とされた。戊辰戦争では戦地に遺棄された銃砲刀剣糧食の売買によって巨利を得たといわれる。維新後は大阪の堂島で米穀商を営み,米,株式,綿糸,砂糖などで大相場を張り,相場の世界で活躍した。他方,吉野に植林事業を行い,内外綿の頭取,大阪商船取締役や,大地主でもあった。動乱の時代に,大胆な商略を縦横に発揮して成功した。<参考文献>実業之世界社編『財界物故傑物伝』上

(末永國紀)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「阿部彦太郎」の解説

阿部彦太郎 あべ-ひこたろう

1840-1904 明治時代実業家
天保(てんぽう)11年7月21日生まれ。家業紅花,生糸,縮緬(ちりめん)の売買に従事したが,大阪にでて米穀相場にたずさわり,堂島の市場を牛耳るようになる。内外綿,大阪商船,東洋汽船などの重役をつとめた。明治37年5月5日死去。65歳。近江(おうみ)(滋賀県)出身

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