防・禦・拒(読み)ふせぐ

精選版 日本国語大辞典 「防・禦・拒」の意味・読み・例文・類語

ふせ・ぐ【防・禦・拒】

〘他ガ五(四)〙 (古くは「ふせく」)
① 攻撃をおさえる。敵が侵入して来ないように守る。ほせく。ほそく。
書紀(720)応神一四年二月(北野本訓)「新羅人(しらきひと)の拒(フセク)に因(よ)りて、皆(みな)加羅国(からくに)に留(ととま)れり」
② さえぎって及ばないようにする。さえぎりとどめる。
※書紀(720)雄略九年三月(前田本訓)「跡を匝羅(さふら)の表(ほか)に竄(かく)し、高麗の貢(みつき)を阻(フセキ)て、百済(くたら)の城(さし)を呑む」
災いや好ましくないことが起こらないように、前もって注意したり準備したりする。
※天草本伊曾保(1593)燕と諸鳥の事「スコシノ アヤマリヲ fuxeganeba(フセガネバ) ヲウキナ トガヲ スル モノ ヂャ」
[語誌]「名義抄」では諸本すべてフセクであり、「平家正節」にも清符が付されており、室町時代の節用集には、フセクとフセグが混在している。このことから、南北朝時代頃までは、清音であったと推定される。「日葡辞書」やロドリゲス「日本大文典」になると、フセグだけを載せている。

ふせぎ【防・禦・拒】

〘名〙 (動詞「ふせぐ(防)」の連用形名詞化。古くは「ふせき」)
① ふせぐこと。また、そのための具。
※書紀(720)天智元年一二月(北野本訓)「避城(へさし)西北は帯(お)ふるに古連旦涇の水を以てし東南、深埿巨堰の防(フセキ)に拠(よ)れり」
護衛のために雇っておく男。用心棒をいう。
※雑俳・川柳評万句合‐明和六(1769)天二「ぼんおどりふせぎと見へて男の子

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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