関節可動域(読み)かんせつかどういき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「関節可動域」の意味・わかりやすい解説

関節可動域
かんせつかどういき

四肢関節には生理的にそれぞれ一定の運動性(角運動としての動き)があり、その運動の範囲(角度)もほぼ一定している。つまり正常な関節では、正常な運動が正常な範囲内で行われているわけで、日常動作はこれによって円滑に行われる。たとえば膝(しつ)関節には屈曲伸展の運動があり、膝(ひざ)はまっすぐに伸び正座できるまで屈曲する。このような関節の運動を計測したり表示するための共通な基準を、関節可動域という。関節可動域は、角度で表すことになっている。

 関節はいろいろな原因でその正常可動域が減じて運動の制限をきたす。たとえば関節炎後の関節拘縮(こうしゅく)とか、大腿(だいたい)骨骨折後に膝関節拘縮を残すといったことである。このような場合にはその可動域を角度計で測定し、その程度を調べる。これを関節可動域テストという。この場合は自働的な可動範囲と他働的な可動範囲を同時に調べることが必要である。

 関節可動域がある程度以上に狭くなったときは日常動作に支障をきたすことになるので、可動域を正常範囲に戻すことが必要となる。そのためにまず行われるのが種々の器械器具を用いての関節機能訓練(関節可動域訓練)であり、いわゆるリハビリテーションである。この場合は筋力の強化訓練も、あわせて行うことがたいせつである。

 関節には病的に異常可動性をきたすことがある。これは、生理的にない運動性がみられたり、生理的運動範囲を超えた運動性がみられることである。たとえば、膝関節で下腿外反したり内反したりすること(外反あるいは内反異常可動性)、膝関節が過度に伸展すること(反張膝)などの場合である。

[永井 隆]

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