銀鉱物(読み)ぎんこうぶつ(英語表記)silver mineral

改訂新版 世界大百科事典 「銀鉱物」の意味・わかりやすい解説

銀鉱物 (ぎんこうぶつ)
silver mineral

銀を含む鉱物総称。銀を数%以上含む鉱物は約60種知られている。重要な銀鉱物としては,自然銀native silver Ag,輝銀鉱argentite Ag2S,角銀鉱cerargyrite AgCl,ナウマン鉱naumannite Ag2Se,安銀鉱dyscrasite Ag3Sb,ジャルパ鉱jalpaite Ag3CuS2,硫ゲルマン銀鉱argyrodite Ag8GeS6,硫シャク(錫)銀鉱canfieldite(別名カンフィールド鉱)Ag8SnS6,ゼイ(脆)銀鉱stephanite(別名,ゼイ安銀鉱)Ag5SbS4,濃紅銀鉱pyrargyrite Ag3SbS3,淡紅銀鉱proustite Ag3AsS3,雑銀鉱polybasite(別名,輝安銅銀鉱)(Ag,Cu)16Sb2S11,ヒ(砒)雑銀鉱arsenpolybasite(Ag,Cu)16As2S11,ヘッス鉱hessite(別名,ヘッサイト,テルル銀鉱)Ag2Teなどがある。このほか四面銅鉱や方鉛鉱には銀を含むものがあり,鉱床内に多産する場合にはシルバーキャリアとして重要視される。ふつう銀鉱物は,数mm以下の大きさで他の硫化鉱物などと密雑して産するため,肉眼で識別するのは困難なことが多い。自然銀や角銀鉱は各種銀鉱床の酸化帯に産する。世界最大の銀山といわれたボリビアポトシ銀山はその典型的な例である。浅熱水鉱脈鉱床(串木野佐渡など),中熱水鉱脈鉱床(アメリカのコアドレーン地方,メキシコのパチュカなど),銀・コバルト鉱床(カナダのコバルト・ゴーガンダ両地方,メキシコのチワワなど),銀・鉛・亜鉛堆積型鉱床(カナダのサリバン,オーストラリアのブロークン・ヒルなど),黒鉱鉱床(秋田県の松峰,釈迦内(しやかない)など),および鉛・亜鉛鉱を主とする接触交代鉱床などに多く産する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報