野部郷(読み)のべごう

日本歴史地名大系 「野部郷」の解説

野部郷
のべごう

現豊岡村北部の上野部・下野部を遺称地とし、敷地しきじなども含む一帯に所在した郷。野辺郷とも記す。地名としての初見は南北朝期であるが、平安・鎌倉期にはすでに地名として現れていたと推測される。建治元年(一二七五)に京都の六条八幡宮(現京都市東山区若宮八幡宮社。当時は同下京区)の造営料を負担した鎌倉幕府御家人のうち、遠江国では一〇名のうちの一人に「野部介六貫」とみえる(同年五月日「六条八幡宮造営注文」国立歴史民俗博物館蔵)。野辺(部)氏は藤原南家工藤氏の系譜を引くといわれ、平安期に野部郷に土着して野辺氏と号した在地の有力武士で、国衙の在庁官人であり鎌倉幕府の成立後は御家人ともなっていたのである。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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