釈奠・舎奠(読み)せきてん

精選版 日本国語大辞典 「釈奠・舎奠」の意味・読み・例文・類語

せき‐てん【釈奠・舎奠】

〘名〙
① (「釈」も「奠」も置く意で、供物神前にささげてまつること) 古代中国で、先聖先師の霊をまつること。後漢以後は孔子およびその門人をまつることの専称。牛羊などのいけにえを供えず蔬菜(そさい)の類だけを供えてまつる場合は釈菜(せきさい)という。しゃくてん。さくてん。
※童子問(1707)下「上自大学、下至州県学、延及夷服之地、各修釈奠惟謹」 〔礼記‐王制
② 日本で、二月および八月の上の丁(ひのと)に大学寮で孔子並びに十哲の像を掛けてまつった儀式。もし上の丁が日食・国忌・新年祭などに当たれば中の丁を用いた。廟拝ののち、饗宴があり、博士が出題・講論・賦詩などを行なった。応仁一四六七‐六九)の頃に廃絶したが、寛永一〇年(一六三三)林羅山が再興し、その後昌平黌や藩校でさかんに行なわれた。おきまつり。しゃくてん。さくてん。《季・春》
※続日本紀‐大宝元年(701)二月丁巳「釈奠 注釈奠之礼是始見矣」
※十訓抄(1252)一「中納言に拝任の後、始て釈奠の上卿をつとめけるが」
[補注](1)「セキテン」は「釈奠」の漢音読み。呉音読みでは「シャクテン」。拗音「シャク」は、中古には拗音表記法が未発達で「サク」と表記されたので「サクテン」の形も表記形として生じた。従って、この語には三形が併存した。
(2)漢字表記のみの場合は、読みが明らかでないが、便宜上本項におさめた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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