配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(読み)はいぐうしゃからのぼうりょくのぼうしおよびひがいしゃのほごとうにかんするほうりつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律
はいぐうしゃからのぼうりょくのぼうしおよびひがいしゃのほごとうにかんするほうりつ

平成13年法律31号。配偶者などから暴力を受けた場合に,被害者生命身体危害を及ぼすような攻撃から保護,救済することを目的とする法律。通称ドメスティックバイオレンス(domestic violence,DV)法または DV防止法。ドメスティック・バイオレンスとは一般に配偶者や恋人に対する暴力をさす。1993年に国連総会で「女性に対する暴力撤廃宣言」が採択され,また 1995年中国の北京で開催された世界女性会議で DVが議論されたことなどで日本でも DVに対する認知が広まり,それにつれて DV被害の相談や発生件数が急増した。これをうけて 2001年4月に DV防止法が成立,10月に施行された。対象は既婚夫婦,事実婚の男女,婚姻解消後の男女のほか,生活の本拠をともにし交際している男女にも適用される。国と地方公共団体は暴力を防止し被害者を保護する資格を有すると規定し,被害者が保護を求める先となる,都道府県運営の配偶者暴力相談支援センター,警察,地方裁判所の役割を明記する。被害者が生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合は,裁判所は加害者に対し,6ヵ月間の接近禁止または 2ヵ月間の住居退去を求める保護命令を発することができ,この保護命令に違反した場合は,1年以下の懲役か 100万円以下の罰金が科せられる。

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