鄙振・夷振・夷曲（読み）ひなぶり

精選版 日本国語大辞典

ひな‐ぶり【鄙振・夷振・夷曲】

〘名〙

① 上代の歌曲の一つ。楽府(がふ)でそのいなかふうの節奏によって名づけたものか。一説に、歌詞による名。

※古事記（712）上「天なるや 弟棚機(おとたなばた)の うながせる 玉の御統(みすまる) 御統に 穴玉はや み谷 二渡らす 阿治志貴 高日子根の神そ とうたひき。此の歌は夷振(ひなぶり)ぞ」

② いなかふうであること。また、そのような詩歌。

※古活字本毛詩抄（１７Ｃ前）一二「されども何としてもいなかわ物がひなふりて悪ぞ」

③ (優雅な短歌に対して) 狂歌のこと。〔狂歌・古今夷曲集（1666）〕

出典　精選版 日本国語大辞典