郷蔵(読み)ごうぐら

精選版 日本国語大辞典 「郷蔵」の意味・読み・例文・類語

ごう‐ぐら ガウ‥【郷蔵】

〘名〙 江戸時代年貢米保管、または凶作に備えての貯穀のためなどに村々に設置された蔵。すべての村にあったわけではなく数か村が共同使用をしたり、名主土蔵を準用することもあった。地代金は村が負担し、建設資金、修理費用は幕藩領主が支払い、敷地は高から引かれる定めであった。
地方凡例録(1794)六「郷蔵は村居の内に附、多分畑地に立る明屋館等あれば、やしきにも立る事也」

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「郷蔵」の解説

郷蔵
ごうぐら

郷村に設置された穀物倉庫。江戸時代,年貢米の保管用に建てられたのがはじまり。年貢米は収穫後,各村の郷蔵に納められたのち,幕領では江戸・大坂幕府蔵へ,藩領では藩庫や市場へ回送された。江戸中期以降は,こうした年貢米の一時保管に加え,備荒政策の展開にともない貯穀蔵としても利用された。農民から供出された穀物が備蓄され,災害時に救済用に貸し付けられた。はじめ村役人の私蔵を利用することが多かったが,不正な出穀が発覚したため,幕府は1789年(寛政元)村負担による郷蔵の建造を命じた。蔵の管理は村役人にゆだねられ,貯穀・出穀の状況は帳簿に記帳された。

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旺文社日本史事典 三訂版 「郷蔵」の解説

郷蔵
ごうくら

江戸時代,年貢米の保管や備荒貯穀のため農村に設けた倉庫
最初は年貢米の分散,あるいは一時的収納を目的としたが,天明の飢饉(1782〜87)後は備荒用倉庫の面が強くなった。凶年ばかりでなく,平年にも貯米の貸与給与が行われた。

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