進歩史観(読み)しんぽしかん

山川 世界史小辞典 改訂新版 「進歩史観」の解説

進歩史観(しんぽしかん)
progressive view of history

歴史に特定目標を設定し,それに至る人間の進歩発展過程として歴史をとらえる歴史観。歴史を神の計画の実現過程とみたユダヤ教的・キリスト教的な歴史観を土壌にしている。近代ヨーロッパにおいては,啓蒙思想風土のもとで目標を世俗的なものに転化することを通じて,過去,現在,未来を貫く人間の無限の進歩の可能性を基本にして歴史を把握した。生産諸力の発展に人間の解放をみようとする唯物史観もその一つの表現であるが,近年,ヨーロッパ近代に基準を置く進歩に対する疑念が強くなり,実証面からも進歩史観を批判する修正主義が現れてきた。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の進歩史観の言及

【進歩】より

…欧米では自由主義経済と科学技術文明に基づく進歩信仰は,かなり後まで保たれてはきたものの,今日ではさまざまの行詰りに直面して再検討を迫られている。学問の世界においても歴史学をはじめとするさまざまの領域で,いわゆる〈進歩史観〉を相対化する試みがなされるようになっている。しかし進歩が,たんに保守派に対する進歩派という特殊日本的な意味に尽きず,人類の退歩に対する普遍的対抗価値を意味するかぎり,それは,矛盾克服の努力を通じて守られていかなければならないであろう。…

※「進歩史観」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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