軋・輾(読み)きしる

精選版 日本国語大辞典 「軋・輾」の意味・読み・例文・類語

きし・る【軋・輾】

[1] 〘自ラ五(四)〙 堅いもの同士が強く触れ合って音が出る。摩擦し合って音が出る。きしむ。〔十巻本和名抄(934頃)〕
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「裏の井戸釣瓶を軋らせる響」
[2] 〘他ラ四〙
① 堅いものが強く触れ合って音を出す。摩擦して音を出す。また特に、車輪が摩擦で音をたてるほど車を疾走させる。きしませる。
平家(13C前)三「暁氷をきしる車のあと」
※薄衣(1899)〈永井荷風〉六「砂利(ざり)を輾(キシ)る音が遠く横町を離れた頃」
② 物と物とを、すれ合うようにする。音をたててすり合わせる。
※木工権頭為忠百首(1136頃)桜「やまうちのみそきはにうゑし桜花かきをきしりて咲にける哉〈藤原親隆〉」
太平記(14C後)一六「舷を輾(キシ)り、艫舳を双(なら)べたれば」
③ 勢いや数を争うように、触れ合わせる。また、接触して、競い合わせる。
撰集抄(1250頃)七「社はいらかをならべ、廻廊軒をきしれり」
ねずみなどが、きしるような音をたてて物をかじる。歯でかじる。
甲陽軍鑑(17C初)品四七「又鼠といふ物は、大事の物の本をもきしり破(やぶり)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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