砂利(読み)じゃり

精選版 日本国語大辞典 「砂利」の意味・読み・例文・類語

じゃり【砂利】

〘名〙
① 細かい石。また、小石の集まったもの。あるいは、小石に砂がまじったもの。ざり。
梅津政景日記‐元和五年(1619)七月二日「御たたみの表・石・壁土・ぢやりの書付渡」
② (白い砂や小石が一面に敷きつめてあったところから) 江戸時代奉行所などの法廷の一部をいう。百姓、町人をはじめ、町医師、足軽、中間、浪人などが着席したところ。当時は身分により出廷した者のすわる場所が区別されていたが、町奉行所などでは、ほかに下縁(したえん)、上縁があり、三段階に分かれていた。また、転じて、奉行所をいう。白州(しらす)。ざり。
※記事条例‐九・文化元年(1804)三月二四日(古事類苑・法律五五)「徒士格より以下は砂利え差出候仕来に御座候」
③ 古く、子ども見物人をいう、劇場や寄席(よせ)、香具師(やし)などの隠語。転じて、子どもをいう俗語。
滑稽本・魂胆夢輔譚(1844‐47)四「そんなじゃりの様なかいぼうに構ふな、(ジャリとは子どものこと)」

ざり【砂利】

〘名〙
① 砂まじりの小石。じゃり。
※俳諧・俳諧三部抄(1677)上「ざり砂や蒔絵に見ゆる松かざり〈風子〉」
② (白い砂や小石が一面に敷きつめてあったところから) 江戸時代、奉行所などの法廷の一部をいう。転じて、奉行所。白州(しらす)。じゃり。
③ 米粒。米。また、白飯。〔現代語大辞典(1932)〕

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デジタル大辞泉 「砂利」の意味・読み・例文・類語

じゃり【砂利】

小石。また、小石に砂のまじったもの。ざり。「砂利道」「玉砂利」「砂利トラ」
《劇場・見世物小屋などで見物の子供をさしていったところから》子供。
《小石や白砂を敷きつめたところから》江戸時代、奉行所の一区画で、町人・百姓などが着座する所。
[類語](1石ころ石くれ小石れき石礫せきれき礫石れきせき石塊せっかい転石てんせき砕石ごろた石つぶて玉石割り栗石さざれ石火打ち石2餓鬼子供

ざり【砂利】

じゃり(砂利)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「砂利」の意味・わかりやすい解説

砂利
じゃり
gravel

岩石が風化作用により崩壊し、流水その他の摩耗作用によってできた丸みをもつ粗粒。コンクリートに用いる場合、粗骨材という。通常粒径5ミリメートル以上、40ミリメートル以下程度の粒をいう。粒径12~13センチメートル程度より大きいものを玉石という。岩石や玉石をクラッシャーにより砂利と同程度の粒径に砕いたものを砕石(砂利)という。

 砂利は産地によって川砂利山砂利海砂利などと区分される。また組成や成因などによって普通砂利、火山砂利(軽量砂利)、人工軽量粗骨材、砕石、高炉スラグ粗骨材(製鉄の際に高炉から発生するスラグを徐冷してクラッシャーで破砕し整粒した砂利)などがある。用途によりコンクリート用粗骨材、路盤用、切込(きりこみ)砂利などに区分される。

 砂利の性質のほとんどは粒を構成する造岩鉱物の種類、性質によって決まるので、産地や河川によって性質が決まるといってもよい。火成岩地帯の河川からは硬質の砂利が産出し、房総半島などでは堆積(たいせき)岩質の比較的軟質の砂利が採取される。普通の砂利は比重2.5~2.7、吸水率0.6~5.0%である。比重は軟質な砂利ほど小さく、吸水率は大きい。川砂利は粒形が球状で、水に洗われているので清浄である。旧河川敷の砂利や山砂利は有機質や粘土などを含むので洗浄する必要がある。この洗浄泥水の処理はしばしば環境汚染を引き起こし問題となる。砕石(砂利)は良質の母岩を選定すれば、強度、耐久性の点では安心である。一部の砕石についてアルカリ骨材反応(セメント中の酸化ナトリウム酸化カリウムと反応して膨張し、コンクリートにひび割れを生ずる現象)が発生し、2000年(平成12)には、高速道路などの道路橋でアルカリ骨材反応が起きているのがみつかり、大きな問題となった。クラッシャーで破砕し、ふるいでふるって整粒するので粒度分布はよい反面、形状が角張っているが、天然砂利の枯渇からコンクリート用砕石が漸増している。海砂利は波浪作用により粒形がよい。海産骨材は塩化物の洗浄を十分に行わないと鉄筋が錆(さ)びる。

 河川産砂利や海砂利は採取規制が厳しく生産量は少なくなった。旧河川敷の砂利や山砂利は採掘権の取得がむずかしく、洗浄泥水の処分などの点で将来の生産量はあまり期待できない。そのため、砕石、高炉スラグ砕石などに依存する傾向にあり、2004年の骨材消費量1億7000万トンのうち砕石が約40%を占めている。

[笠井芳夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「砂利」の意味・わかりやすい解説

砂利 (じゃり)
gravel

岩石が風化,流水,転落などの自然作用によって砕かれ,角ばりがとれた状態になったもの,またはその集合体のこと。ふつう粒の大きさが5~60mm程度のものをいうが,それ以上で約300mm以下の大型のものを玉石(たまいし)cobbleと呼び,これも砂利に含めることがある。これらに対して岩石を人工的に破砕・整粒した人工の砂利,すなわち砕石(さいせき)があるが,ふつう砂利といえば天然のもののみを指す。しかし分類上の明確を期するために天然産のものを天然砂利,砕石を人工砂利とする。また,天然砂利と天然産の砂とを総称して砂利ということもある。

 砂利は,その集合体として堆積している場所によって呼名が変わる。堆積場所が海であれば海砂利,河川であれば川砂利(または河川砂利),旧河川すなわち現在の河川の周辺で,すでに平地化した部分(旧河川敷)であれば陸(おか)砂利,堆積地が隆起または浸食によって取り残され,山地状または段丘となった部分のものを山砂利という。川砂利は他の砂利にくらべると最も球形に近く,上流域よりも下流域のほうが粒径の小さいものが多い。陸砂利も粒形的には川砂利とほぼ同じであるが,泥分の混入があるので,良質な砂利とするには洗浄を行わねばならない。山砂利は川および陸砂利にくらべると自然による淘汰の作用量が少ないために,球形率は一般に悪く,堅硬質のものが少なく,かつ泥分の混入する割合も高い。海砂利は概して細粒であり,砂利よりもむしろ砂として利用されることのほうが多い。

 砂利の用途は,セメントコンクリートや道路舗装用の粗骨材(玉石を人工的に破砕・整粒した玉砕(たまさい)も用いられる)が主である。また粗骨材としての砂利は,泥分や粘土鉱物分,塩分,非晶質のシリカ分,その他の有機物の付着および含有がなく,低吸水率,堅硬で球形率が高いものが良質とされ,粒度も単一でなく,ある粒度幅の範囲に分布していることも必要条件の一つとされている。
骨材 →砂利採取業 →
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「砂利」の意味・わかりやすい解説

砂利
じゃり
gravel

ともいう。径 2mm以上の岩石片の総称。土木工学では 5mm以上の大きさの礫が 85%以上混じる礫の集団をさし,コンクリートの粗骨材,道路舗装などに用いる。砂利は個々の岩質が硬いものほど良好で,古生層,中生層のチャート硬砂岩などがよい。砂利は川砂利が採掘のおもなものであったが,近年丘砂利 (河川敷の外側の平地の砂利) ,山砂利 (丘陵地の砂利) も採掘されるようになり,さらに岩石を砕いて製造するようになった。

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リフォーム用語集 「砂利」の解説

砂利

直径2?5cm程度の石や、小石に砂が混ざったものの事。建設材料として、道路や鉄道軌道用の路盤材料や、盛土や埋立地などを造成する土工材料、コンクリートを造る際の骨材、造園における敷石(庭石)などがあり、種類は、コンクリート用骨材、道路用砕石、クッション用砂・埋め戻し用砂、再生砕石、リサイクル発泡骨材などがある。白色系、黒岩系、褐色系、赤色系などの色があり、採掘場所により異なる。

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百科事典マイペディア 「砂利」の意味・わかりやすい解説

砂利【じゃり】

土木工事に利用される礫(れき)のこと。普通,海浜でとれるのを海砂利,河床に堆積するのを川砂利,山中に埋蔵されている地質時代に海や河川で堆積した礫を山砂利または陸(おか)砂利という。直径により大砂利(76mm以上,線路用),中砂利(76〜36mm,道路用),小砂利(36〜18mm,コンクリート用)に便宜上分類される。

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岩石学辞典 「砂利」の解説

砂利

砂礫の集合したもの.産地により川砂利,山砂利,陸砂利,海砂利がある.

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