精選版 日本国語大辞典 「跡無」の意味・読み・例文・類語
あと‐な・し【跡無】
〘形ク〙
① 跡が残らない。あとかたもない。
※万葉(8C後)三・三五一「世の中を何に譬へむ朝開き漕ぎ去(い)にし船の跡無(あとなき)ごとし」
② (跡が残らないところから) むなしい。効果がない。
※万葉(8C後)一一・二三八五「あらたまの五年経れどわが恋ふる跡無(あとなき)恋の止まなくも怪し」
③ 人の往来が絶えている。人の訪れがない。
※山家集(12C後)上「とへな君夕暮れになる庭の雪をあとなきよりはあはれならまし」
④ 根拠がない。あてにならない。また、ばかげている。でたらめだ。
⑤ 跡を継ぐ者がないほどに巧妙だ。比べようがなくすぐれている。
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