日本大百科全書(ニッポニカ) 「越(春秋戦国時代)」の意味・わかりやすい解説
越(春秋戦国時代)
えつ
中国、春秋戦国時代の国。浙江(せっこう)省北部に本拠を置く大国として、江蘇(こうそ)省の大国呉(ご)と対峙(たいじ)した。その呉を滅ぼした後は、勢力圏を浙江から江蘇・安徽(あんき)両省方面に伸ばした。新石器時代、青銅器時代を通して中原(ちゅうげん)とは異なる文化圏にあった。前6世紀、越王允常(いんじょう)のころ、強大化して呉と抗争するようになるが、その子勾践(こうせん)(在位前496~前467)は呉王夫差(ふさ)に会稽(かいけい)で敗れ、滅亡の淵に立たされた。一時隠忍した後、呉王夫差が北進したすきを突いて呉に攻め入り、やがてこれを滅ぼした(前473)。その余勢を駆って中原に覇を唱え、山東の斉(せい)の南辺を脅かしたが、前329年に楚(そ)の威王(いおう)に大破され、さらには楚の頃襄王(けいじょうおう)にも大破されて勢力が衰えた。その後山東の南に命脈を保ち、前257年、魯が楚に滅ぼされたころ、同じく楚に滅ぼされたらしい。
[平勢隆郎]
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