勾践(読み)コウセン

デジタル大辞泉 「勾践」の意味・読み・例文・類語

こうせん【勾践】

[?~前465]中国春秋時代の王。会稽山かいけいざん戦いで呉王夫差ふさに敗れたが、復讐を誓い、忠臣范蠡はんれいと備えること20年、ついに呉を滅ぼした。→会稽かいけいの恥臥薪嘗胆がしんしょうたん

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精選版 日本国語大辞典 「勾践」の意味・読み・例文・類語

こうせん【勾践】

中国、春秋時代の越の王(在位前四九六‐前四六五)。呉王闔閭(こうりょ)を敗死させたが、その子夫差(ふさ)会稽山に戦って敗れ、のち名臣范蠡(はんれい)と謀って、呉を滅ぼす。前四六五年没。→臥薪嘗胆(がしんしょうたん)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「勾践」の意味・わかりやすい解説

勾践
こうせん
(?―前467)

中国、春秋時代末の越(えつ)の王(在位前496~前467)。江蘇(こうそ)の大国呉(ご)の王闔閭(こうりょ)が、父允常(いんじょう)の死に乗じて攻め寄せたのを迎え撃ち、敗死させた。いわゆる臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の故事は、夫差(ふさ)と勾践が恥を忍び復讐(ふくしゅう)を成就させたことで有名。『十八史略』に「臥薪」を夫差、「嘗胆」を勾践の事績とするが、そもそも『左伝』に見える説話では、「臥薪」(の元の話)、「嘗胆」いずれも勾践の事績で、「坐臥のたびに胆を仰ぎ、飲食のたびに嘗胆する」であった。いずれにしても夫差はその恥を忘れず勾践を降伏させ、勾践もその恥を忘れなかった。勾践は文種(ぶんしょう)、范蠡(はんれい)を重用して富国強兵につとめ、夫差が中原に覇をとなえるべく黄池の会にでかけたすきを突いて、呉に攻め入った。夫差の意図は頓挫する。以後勾践は連年呉を攻め、前473年、夫差を自害させ呉を滅ぼした。そして勢いに乗じて北進し、斉(せい)、晋(しん)や諸侯と会盟して覇を唱えた。勾践はのちに五覇の一に数えられている。勾践の死後も、越は一定勢力を維持し、楚(そ)の東進を防いでいたが、前329年、楚の威王に大破された。『戦国策』によると、前279年の時点で、楚の頃襄王(けいじょうおう)(在位前296~261)は越と5度戦い3度勝利して江蘇の越の本拠を滅ぼしたという。前3世紀初めごろの湖北省望山1号楚墓から越王勾践剣が出土するのも、この越地の攻略の際に越の墓が盗掘され、戦利品として持ち帰られたためらしい。

[平勢隆郎]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「勾践」の解説

勾践(こうせん)

?~前465(在位前496~前465)

春秋末期の越(えつ)の王。荀子(じゅんし)五覇の一人にあげる。会稽(かいけい)を都とした越は,北の呉と対立した。呉王闔閭(こうりょ)が勾践との戦いで傷ついて亡くなると,子の呉王夫差(ふさ)は越を報復のために攻めた。勾践は「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」の故事で知られるように,夫差に囲まれたことを会稽の恥として復讐を果たすために国力を蓄え,20年後に呉を滅ぼして覇王となる。范蠡(はんれい)と大夫種(たいふしゅ)の賢人がその政治を支えた。『呉越春秋』『越絶書』『史記』越王世家などに詳しい。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「勾践」の意味・わかりやすい解説

勾践
こうせん
Gou-jian; Kou-chien

[生]?
[没]貞定王5(前465)
中国,春秋時代の王 (在位前 497~465) 。父は越王允常。呉王闔閭 (こうりょ) の侵入を撃退しこれを傷死させたが,その子夫差のため前 494年大敗北し,屈辱的な講和を結んだ (会稽の恥) 。復讐のため名臣范蠡 (はんれい) や大夫種らの努力で国力を強め,ついに前 473年夫差を破り自殺させた。やがて諸侯を徐州に会して盟主となり,覇王と号した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「勾践」の解説

勾践
こうせん

?〜前465
春秋時代の越の国王(在位前496〜前465)
父王のときから呉と争い,前494年呉王の夫差 (ふさ) と会稽 (かいけい) 山に戦って敗れたが,許されて国に帰り臥薪嘗胆 (がしんしようたん) ,名臣范蠡 (はんれい) と富国強兵につとめ,前473年呉を滅ぼし,夫差を自殺させた。春秋五覇の最後のひとりに数えられたが,晩年には勢力を失った。

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