買継商(読み)かいつぎしょう

精選版 日本国語大辞典 「買継商」の意味・読み・例文・類語

かいつぎ‐しょう かひつぎシャウ【買継商】

東京日日新聞‐明治二九年(1896)一一月一三日「一朝他に買継商起らんか其資金二三十万円位は立ろに聚るべし」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「買継商」の意味・わかりやすい解説

買継商
かいつぎしょう

近世における問屋仲買商人の一種。買次問屋ともいう。産地にいて都市問屋の注文を受け、仲買が集荷した商品を転売する。たとえば江戸木綿問屋のおもな仕入先は大坂・伊勢(いせ)・尾張(おわり)・三河であったが、注文は直接各地方の木綿買継商にすればよかった。彼らは問屋仲間を結び、流通ルートを乱さないようにして仲間外商人の介入を防いだ。1790年(寛政2)江戸木綿問屋の書上によれば、摂州大坂・紀州和歌山が木綿仕入問屋となっているのに対し、勢州・尾州・三州は木綿買次問屋で、それぞれ22人・6人・5人の商人があげられている。経営は江戸中期ごろまでは都市問屋のほうが貸越勘定であったが、後期には買継商のほうが貸越となったという。なお木綿以外の商人でも各産地に買継商に相当するものが相当数いたが、名称・人数などはっきりしない。なお幕末には開港場横浜への売込商に対し、注文を受けて商品を送り届ける取次商人がいて、買継商人とよばれていた。

[北原 進]

『北島正元編著『江戸商業と伊勢店』(1962・吉川弘文館)』『林玲子著『江戸問屋仲間の研究』(1967・御茶の水書房)』

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