角膜実質炎(読み)かくまくじっしつえん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「角膜実質炎」の意味・わかりやすい解説

角膜実質炎
かくまくじっしつえん

角膜の実質が炎症をおこしたときの総称で、先天性のものと後天性のものがある。先天性のものには梅毒性の角膜実質炎があり、生下時あるいは生後しばらくしてから黒目が白く濁り、歯の異常や難聴を伴う。後天性のものには、細菌、ウイルス、とくにヘルペスウイルスの感染によるものが多くみられる。症状は、流涙を訴えたり、光を異常にまぶしく感じたり、疼痛(とうつう)が出現し、視力も低下する。結膜が充血し、角膜は混濁して周囲から血管が侵入してくる。治療は、原因によってそれぞれ異なる。目を休ませて、身体の休養をとることも重要である。感染の場合には、抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤(IDUアシクロビル)などの点眼を行う。原因が梅毒や結核の場合は、それぞれの治療を行う。症状が強い場合には、結膜下注射や全身投与を行う。ステロイド剤の点眼は炎症をとる効果が強く、自覚症状の軽減に役だつが、乱用すると角膜炎を悪化させるだけでなく、緑内障白内障をおこすこともあるので、使用には十分な注意が必要である。

[中島 章]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例