角結膜炎(読み)かくけつまくえん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「角結膜炎」の意味・わかりやすい解説

角結膜炎
かくけつまくえん

角膜結膜はそれぞれの上皮が連続しており、同時に病的変化を受けやすい。結膜炎では、しばしば角膜にびらんや表層浸潤が認められ、この意味では結膜炎の多くのものは厳密には角結膜炎ということになる。ときにはアレルギー性角結膜炎とか、フリクテン性角結膜炎などとよばれることもあるが、かならず角結膜炎としてよばれる疾患に次の二つがある。

内田幸男

流行性角結膜炎

アデノウイルス8型、19型、37型などの感染でおこり、急性濾胞(ろほう)性結膜炎の病像を示すが、発病1週間から10日ごろから角膜上皮に浸潤を生じ、やがて角膜上皮の下層、実質浅層に点状の混濁をつくる。成人患者の約半数におこり、角膜中央に多数できると視力が悪くなる。この混濁は点状表層角膜炎とよばれ、結膜の炎症が治ったあとも残る。流行性におこり、点状表層角膜炎を合併するという意味で流行性角結膜炎の名がつけられた。感染症予防・医療法(感染症法)で5類感染症に分類されている。

[内田幸男]

乾性角結膜炎

慢性の軽い結膜炎症状とともに涙の分泌減少がある。角膜表面はこのために湿潤性を失い、びらん、糸状付着物、潰瘍(かいよう)などを生じる。これらの著明な角膜の病変を伴うため角結膜炎とされる。また、リウマチ性疾患の眼症状として現れることがあり、この場合はシェーグレン症候群とよばれる。

[内田幸男]

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