襟・衿・領(読み)えり

精選版 日本国語大辞典 「襟・衿・領」の意味・読み・例文・類語

えり【襟・衿・領】

〘名〙
衣服の、くびの回りに当たる部分。また、その部分につけるきれ。古くは「ころものくび」「きぬのくび」といった。
梁塵秘抄(1179頃)二「此のごろみやこにはやるもの、〈略〉ゑりの竪(た)つかた、さび烏帽子
② くびのうしろの部分。くびの、髪と皮膚との境目のあたり。えりくび。うなじ
※談義本・風流志道軒伝(1763)三「ゑりの白きに、いたづら髪のふりかかれるもおくゆかしく」
上着、下着を重ねて、一つに前を合わせること。たとえば、三枚を一つに重ね合わせるのを「三つえり」というたぐい。
※宗五大草紙(1528)衣装の事「三つえりに物を着候事、児、若衆などえりを色えて、うつくしく見せ候はんためにて候」
④ 掛け蒲団の、寝る人の首に触れる部分にかける細長い布。
能装束の一つ。衣類には直接掛けないで、着付けの下に見えるように巻き付ける。白、紅、褐、浅黄萌葱(もえぎ)、紺、縹(はなだ)などの色があり、曲柄や登場人物の年齢などによって使い分ける。紅の色を「いろ入り」といい、その他の色をすべて「いろなし」という。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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