日本大百科全書(ニッポニカ) 「蝸牛(内耳)」の意味・わかりやすい解説
蝸牛(内耳)
かぎゅう
側頭骨岩様部内にあり、内耳の一部を構成し、聴覚受容器を入れる骨性構造物。渦巻管(うずまきかん)、かたつむり管ともいう。全形がカタツムリの殻に似る円錐(えんすい)形状で、頂点(蝸牛頂)は前方に向き、底(蝸牛底)は後方を向く。高さ約4ミリメートル、底の径は約8ミリメートル。内部には中心の軸(蝸牛軸)の周りを後方から前上方に向かって2回と4分の3回転のラセン管が巻いている。その長さは約3センチメートルである。この蝸牛ラセン管内部は、蝸牛軸から出て軸を螺旋(らせん)状に巻いている骨ラセン板によって不完全に上下に分けられている。上側を前庭階(ぜんていかい)、下側を鼓室階(こしつかい)という。骨ラセン板の外側縁は蝸牛ラセン管の外壁に到達せず、その間に膜性の蝸牛管が挟まっている。蝸牛管は蝸牛ラセン管の外側縁を蝸牛の頂上まで巻き上がり、頂盲端となっている。蝸牛管の下壁の基底膜上に音波の受容器(コルチ器)がある。蝸牛軸の内部を通ってきた蝸牛神経(内耳神経の一部)がこれに分布している。蝸牛管内には内リンパ液が満たされている。
[嶋井和世]
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