藤沢氏(読み)ふじさわうじ

改訂新版 世界大百科事典 「藤沢氏」の意味・わかりやすい解説

藤沢氏 (ふじさわうじ)

中世,長野県上伊那地方を根拠とした武士一族。諏訪大社上社諏訪氏の一族千野光親の子親貞が,現伊那市高遠町藤沢を領したことに始まるとされる。親貞の子清親は鎌倉幕府草創期より御家人として仕え,《吾妻鏡》には弓始等の射手としてたびたびみえる。またほぼ同時期に盛景の名が《吾妻鏡》に現れているが,清親との関係は不明である。鎌倉時代後半についてはようすがわからないが,室町時代1457年(長禄1)には箕輪(現,上伊那郡箕輪町)を本拠とした藤沢氏が見える。一方ほぼ同時期に藤沢にも藤沢氏のいることが知れ,両者の関係は不明ながら,藤沢一族の所領が拡大されたものと考えられる。1545年(天文14)武田晴信の伊那谷進攻に際し,藤沢頼親は福与城(箕輪町三日町)にあって抵抗したが落城し,敗走した。頼親は82年(天正10)織田信長の死の直後箕輪に戻り,田中城を築き失地回復を図ったが,徳川方の保科正直により滅ぼされた。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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