藤場(読み)ふじば

日本歴史地名大系 「藤場」の解説

藤場
ふじば

[現在地名]岩沼市阿武隈一丁目

江戸浜街道の阿武隈川を渡る渡船場で、中泉なかいずみ(現亘理郡亘理町)と岩沼を結ぶ。渡船は長さ二丈七尺・幅三尺七寸の歩渡船と長さ四丈・幅五尺八寸の馬渡船の二艘が置かれ、補修・新造の際は石巻いしのまきで行われていたという(岩沼物語)昼夜とも交通量が多く耐用年数は四―五年であったらしい。阿武隈川舟運の荷継場でもあり、藩の蔵場でもあった。「岩沼郷安永風土記」によると、藤場には本穀蔵五、材木蔵一、河岸蔵一の計七の蔵が設けられ、いずれも「御年貢取納御蔵」で、仙台領南方(伊具・亘理・柴田・名取各郡および磐城宇多郡)年貢米が収納されていた。このため蔵方二名、材木蔵方百姓一名が置かれていた。天保九年(一八三八)の巡見衆案内覚帳(「岩沼物語」所収)によれば年貢米を納める蔵六棟の蔵守は三品屋三四郎、城米川下げの際使用する河岸蔵一棟の蔵守は九右衛門とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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