薬籠本草(読み)やくろうほんぞう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「薬籠本草」の意味・わかりやすい解説

薬籠本草
やくろうほんぞう

江戸時代の薬書。1728年(享保13)に香月牛山(かつきぎゅうざん)が著した。牛山幼少のころ、貝原益軒儒学を、のちに鶴原玄益に医学を学び、江戸中期を代表する後世(ごせい)派の医家で、とくに李朱(りしゅ)医学を奉じた。本書は常用薬物100種について、諸家の意見を網羅し、主として気味、主治を紹介、「啓益按(あん)ずるに」と記して牛山自身の治験例を述べている。『一本堂薬選』や『薬徴』など同時代の多くの薬書が古方に則して書かれているのに対して、本書は異色である。

[難波恒雄・御影雅幸]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android