蒸留・蒸溜・蒸餾(読み)じょうりゅう

精選版 日本国語大辞典 「蒸留・蒸溜・蒸餾」の意味・読み・例文・類語

じょう‐りゅう ‥リウ【蒸留・蒸溜・蒸餾】

〘名〙
溶液を蒸発させて、その蒸気を再び凝縮して集めることにより、溶液の成分を分離すること。ウイスキー、焼酎(しょうちゅう)などはこの方法で作られる。
※舎密開宗(1837‐47)内「其受器の水四十八に至るを度とし蒸餾を歇む」
② 物事の精髄だけをとり出すこと。物や事柄の不純な部分や付属物を除くこと。
文明論之概略(1875)〈福沢諭吉〉二「此種類の人物は十人を蒸溜して、智徳の量、一斗を得たるに」
[語誌](1)「蒸留」の「留」は、「餾」あるいは「溜」が当用漢字常用漢字)にないための代用字。中国、明の宋濂の詩に「今年度庾嶺、熱気甚蒸餾」とあり、外気の状態について「むす」の意味で用いられている。この語が蘭学の翻訳の必要から化学的操作の意味で用いられるようになったものと思われる。
(2)明治期では「医語類聚」(一八七二)「薬品名彙」(一八七三)「工学字彙」(一八八六)などは「餾」を、挙例の「文明論之概略」や「和英語林集成(再版)」は「溜」を用いており、両様の表記があった。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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