宋濂(読み)そうれん

精選版 日本国語大辞典 「宋濂」の意味・読み・例文・類語

そう‐れん【宋濂】

中国、明初の儒学者。字(あざな)は景濂(けいれん)。号は潜渓。浙江省浦江の人。明の太祖に仕え、「元史」を編纂。また、太祖の師として重用された。著に「宋学士全集」「潜渓集」など。(一三一〇‐八一

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デジタル大辞泉 「宋濂」の意味・読み・例文・類語

そう‐れん【宋濂】

[1310~1381]中国、明初の学者。浦江(浙江せっこう省)の人。あざな景濂けいれん。号は潜渓。明開国にあたり、礼楽制度の整備功績があった。太祖の命を受けて「元史」を編纂へんさん。著「宋学士全集」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「宋濂」の意味・わかりやすい解説

宋濂
そうれん
(1310―1381)

中国、明(みん)初の学者。字(あざな)は景濂(けいれん)。号は潜渓(せんけい)。浦江(浙江(せっこう)省)の人。唐宋の古文と朱子学を窮め、当時の経学・文学における正統派の代表者である。太祖に仕えて顧問となり、『元史』の編集を総裁し、翰林(かんりん)の要職を歴任するとともに、劉基(りゅうき)とともに明朝の諸制度を定めた。高潔な人格者として皇太子を教育し、太祖の信任もきわめて厚かったが、のち孫の宋慎(1342―1382)が胡惟庸(こいよう)の獄に連坐(れんざ)して刑死したため、彼も茂州に流され、途中で自殺した。文章は典雅で明初随一と称されるが、一面冗漫の弊がある。しかしその名は、遠く海外に聞こえ、日本でも彼に請うた文は多い。著に『宋学士全集』がある。伝は『明史』巻128に記される。

[福本雅一 2016年2月17日]

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改訂新版 世界大百科事典 「宋濂」の意味・わかりやすい解説

宋濂 (そうれん)
Sòng Lián
生没年:1310-81

中国,明初の学者,政治家。字は景濂,潜渓と号す。浦江(浙江省)の人。少時より文名が高く,1369年(洪武2)には《元史》編纂の総裁官となり,翌年これを完成した。また常に洪武帝側近にあり政治の顧問をつとめたので,明一代の礼楽制度は彼の裁定によるものが多いといわれ,劉基とともに開国文臣の代表とされる。77年に官を辞したのち,孫が胡藍の獄にまきこまれたため,連座して茂州(四川省)に流され夔州(きしゆう)(四川省)で没した。《宋学士全集》がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「宋濂」の意味・わかりやすい解説

宋濂
そうれん
Song Lian

[生]至大3(1310)
[没]洪武14(1381)
中国,元末明初の文学者,政治家。潜渓 (浙江省,金華県) の人。字,景濂。早くから文名が高く,元の朝廷から招かれたが受けず,乱を山中に避けるうち,南京にいたのちの明の太祖に召されて皇太子の師となった。洪武2 (1369) 年『元史』編纂の総裁となり,同 10年翰林学士承旨で辞職。同 13年胡惟庸の獄に連座して茂州 (四川省) に流され,翌年没した。温厚な人柄で,太祖の信任も厚く,明一代の制度文物を多く定めた。同郷の黄しんに学び,温雅典麗な古文により明初第一の散文家,また明代を通じての代表的文人の一人とされる。日本へもその生存中から文集が入って愛好者が少くない。著述はすべて『宋学士全集』 (42巻) ,または『宋文憲公全集』 (53巻) にまとめられている。

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世界大百科事典(旧版)内の宋濂の言及

【元史】より

…210巻。宋濂らの編。明朝成立の後ほどなく,1370年(洪武3)に完成。…

【洪武正韻】より

…中国,明の楽韶鳳,宋濂らが勅命により編纂,1375年(洪武8)に刊行した官定の韻書。序文では中原雅音により旧音の誤りを正すと言い,従来の206韻は,平声,上声,去声各22,入声10,合計76韻に併合されている。…

【胡藍の獄】より

…1380年(洪武13)中書省左丞相胡惟庸は謀反のかどで処刑され,御史大夫陳寧ら多くのものが連座した。累は劉基らとともに四先生と呼ばれた宋濂にも及んだ。胡惟庸が日本や北元に通謀していたことが明らかになると,90年再び関係者が追及され,その姻戚李善長をはじめ陸仲亨,費聚,黄彬らの建国の功臣が処刑され,すでに死亡していた顧時,楊璟,華雲竜らはその爵を奪われた。…

※「宋濂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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