葡萄染(読み)エビゾメ

デジタル大辞泉 「葡萄染」の意味・読み・例文・類語

えび‐ぞめ【葡萄染(め)】

染め色の名。薄い赤紫色。ブドウの実の色。
織り色の名。縦糸蘇芳すおう横糸は紫。
かさねの色目の名。表は蘇芳、裏ははなだ一説に、表は紫、裏は赤。

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精選版 日本国語大辞典 「葡萄染」の意味・読み・例文・類語

えび‐ぞめ【葡萄染】

〘名〙 (「えび」はヤマブドウで、上代その実の色の染め色をいったが、中古になると、織物の色、襲(かさね)色目をも表わした)
① 染め色の名。薄い紫色。ブドウの実の色。えび。
※令集解(701)衣服「古記云。〈略〉蒲。謂青色鳩染是也」
書紀(720)天武一四年七月(北野本訓)「朝服(みかどころも)の色を定む〈略〉追位は深き蒲萄(エヒソメ)、進位は浅き蒲萄」
② 織物の色の名。赤い経(たていと)と紫の緯(よこいと)で織ったもの。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「えびぞめの綺(き)の直衣きて」
③ 縹(はなだ)色の打ちで、艷を出したもの(浅浮抄(13C頃か))。
※枕(10C終)二七八「唐綾の柳の御衣、えびぞめの五重(いつへ)がさねの織物に赤色の唐の御衣」

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