葛西用水(読み)かさいようすい

改訂新版 世界大百科事典 「葛西用水」の意味・わかりやすい解説

葛西用水 (かさいようすい)

埼玉県東部から東京都まで延びる一大農業用水路。1660年(万治3)幕府の代官伊奈半左衛門忠克が開削。埼玉県羽生市本川俣で利根川から取水,会ノ川を合わせた後,川口古利根川に入る。越谷市前波付近で古利根川と分かれて,南西へ約3km流れた後,元荒川に入り,その河床をせき止めて瓦曾根溜井とした後,一部の水はそのまま元荒川を流れて古利根川へ合流する。残りの水は南流して草加・八潮両市の一部の水田灌漑する。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「葛西用水」の意味・わかりやすい解説

葛西用水
かさいようすい

埼玉県北東部から東部、ついで東京都足立(あだち)区を流れ、葛飾(かつしか)区で荒川に注ぐ農業水路。利根(とね)川からの取り入れ口は羽生(はにゅう)市(埼玉県)の本川俣(ほんかわまた)付近であったが、1968年(昭和43)利根大堰(おおぜき)の完成に伴い、羽生領用水、古(ふる)利根用水などとともに埼玉用水として統合され、分配され灌漑(かんがい)に利用されている。1660年(万治3)関東郡代伊奈忠克(いなただかつ)が開削したもので、一部は古利根川、元荒川、中川などの自然河川を利用している。用水は堰によって琵琶(びわ)(幸手(さって)市)、松伏(まつぶし)(松伏町)、瓦曽根(かわらそね)(越谷(こしがや)市)の3か所に溜井(ためい)をつくって貯水し、灌漑するものである。

[中山正民]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「葛西用水」の意味・わかりやすい解説

葛西用水
かさいようすい

別名幸手 (さって) 用水。埼玉県の東部平野を灌漑する大用水。その末端は東京都足立区に達し,荒川放水路に注ぐ。万治3 (1660) 年郡代伊奈半左衛門忠克が開設。羽生市川俣で利根川から取水していたが,現在は利根大堰で取水し,埼玉用水から羽生市川俣で分水,鷲宮,杉戸,春日部,松伏,越谷,三郷,草加を通り,その間の灌漑水田は 8000haをこえている。古利根川,元荒川,会ノ川 (旧利根川本流) などの流路を利用し,ところどころせきとめて貯水場 (溜井) を設置。葛西用水路土地改良区により水路管理が行われる。

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百科事典マイペディア 「葛西用水」の意味・わかりやすい解説

葛西用水【かさいようすい】

幸手(さって)用水とも。埼玉県北部の本川俣(かわまた)(羽生(はにゅう)市)で利根川の水を取り入れ,県の東部〜東京都足立区を貫流し,葛飾区で荒川放水路に注ぐ一大農業用水路。1660年江戸幕府郡代伊奈忠克〔1617-1665〕によって造営された。

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事典・日本の観光資源 「葛西用水」の解説

葛西用水

(埼玉県加須市・春日部市・羽生市・越谷市・久喜市・幸手市・北埼玉郡大利根町・北葛飾郡鷲宮町・杉戸町)
疏水百選」指定の観光名所。

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