日本大百科全書(ニッポニカ) 「芦別(市)」の意味・わかりやすい解説
芦別(市)
あしべつ
北海道中央部、石狩(いしかり)炭田北東部の都市。1953年(昭和28)市制施行。市名はアイヌ語「アシュペツ」(低木のなかを流れる川)の転訛(てんか)説などがある。夕張山地を刻む空知(そらち)川河谷を軸とし、支流芦別川との合流部に中心市街がある。空知川沿いにJR根室(ねむろ)本線、国道38号が走り、石狩平野と富良野(ふらの)盆地を結ぶ。ほかに国道452号が通じる。河谷は森林に富み、かつて御料地であったが、1900年(明治33)ごろから入植が始まった。1913年(大正2)根室本線開通とともに炭鉱開発が始まり、1939年(昭和14)三井芦別炭鉱が開坑すると急速な発展をみた。一時は大手炭鉱だけで5社を数え、市制施行時は人口も7万余に達した。1960年代に入って不況による閉山が相次ぎ、坑内掘りとしては最後まで残っていた三井芦別鉱も1992年(平成4)閉山した。市の面積の約90%を占める国有林を背景にした木材関連企業が多いが、芦別工業団地の造成により、機械工業の誘致もみられる。河谷では農業が行われ、水田のほか、メロンやユリ根などの特産物も栽培される。一方、観光面では、国民保養温泉地・国民保健温泉地(国民保健温泉地の指定事業は1995年度で廃止)に指定された芦別温泉などがあり、富良野市および南富良野町との境にある芦別岳一帯は富良野芦別道立自然公園に指定されている。面積865.04平方キロメートル、人口1万2555(2020)。
[柏村一郎]
『『芦別市史』(1974・芦別市)』