色覚遺伝子(読み)しきかくいでんし(英語表記)colour vision gene

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「色覚遺伝子」の意味・わかりやすい解説

色覚遺伝子
しきかくいでんし
colour vision gene

色覚に関与する網膜の錐体細胞(→錐状体)を支配する遺伝子。1986年ジェレミー・ネイサンズ,ダーシートマス,デービッド・S.ホグネスは 3種類の視物質(赤:波長 560nm,緑:波長 530nm,青:波長 420nm)に対するアポ蛋白質をコードするゲノムおよび相補的DNAクローン(→クローンデオキシリボ核酸)の分離とシーケンシングの研究を行ない,それぞれの染色体についてウシおよびヒト染色体ライブラリーをもとに同定した。それによるとアミノ酸シーケンシングはロドプシンと 41(±1)%の相同性を示し,赤色素,緑色素は 96%の相同性であったが青色素は 43%のみであると報告した。そのうえで赤錐体遺伝子と緑錐体遺伝子が X染色体(q28:遺伝子座位),青錐体遺伝子は 7番常染色体(q22-qter)に存在することを明らかにした。ちなみにロドプシンは 3番常染色体(q21-q24)にある。続いて 25例の色覚異常のゲノムDNAを検索し,遺伝子タイプは不均一な遺伝子組み換えまたは変換(または両者)によるものであることを報告した。

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