家庭医学館 「腎結核/尿路結核」の解説
じんけっかくにょうろけっかく【腎結核/尿路結核】
腎臓、尿管、膀胱の特異性感染症で、おもに肺の結核病巣から、菌が血液にのって腎臓に運ばれ病変をおこし、さらに尿の流れにのって、尿管、膀胱にも病変がおよびます。
20歳代の男性に多くみられましたが、近年はどちらかといえば高齢者に多く、男女差もなくなりつつあります。
腎臓だけがおかされているときは、ほとんど無症状ですが、膀胱に感染がおよぶと、初めて症状が出てきます。
膀胱の症状としては、頻尿(ひんにょう)、排尿痛(はいにょうつう)、残尿感(ざんにょうかん)など(膀胱刺激症状)、ふつうの膀胱炎と同じなので、検査・診断で区別する必要があります。
進行すると、尿管狭窄(きょうさく)にともなう腎臓部分の疼痛(とうつう)や、膨らんだ腎臓が腫瘤(しゅりゅう)として触れるなどの症状が現われます。
全身の症状としては、発熱、だるさ(倦怠感(けんたいかん))、寝汗、体重の減少などがみられます。
尿は、米のとぎ汁のような濁った血尿(けつにょう)・膿尿(のうにょう)ですが、結核菌以外の細菌は見つかりません(無菌性膿尿(むきんせいのうにょう))。
診断には、結核の既往、無菌性膿尿が参考になります。また膀胱鏡での結核性病変の発見やX線像のチェックが重要ですが、最終的には、尿中の結核菌を発見して診断をつけます。
治療としては、他の結核と同様、安静と高栄養の食事をとり、抗結核薬を使用します。ストレプトマイシン、パラアミノサリチル酸カルシウム、イソニアジドの併用が従来の標準的方法でしたが、最近はリファンピシンを中心とした抗結核薬の併用が主力となり、その結果、再発が少なくなってきました。
機能を失った腎臓を摘出したり、尿路の通過障害が残った場合は、尿管形成術や膀胱形成術などが必要となることもあります。