而已・耳(読み)らくのみ

精選版 日本国語大辞典 「而已・耳」の意味・読み・例文・類語

らく‐のみ【而已・耳】

連語〙 (接尾語の「らく」に副助詞「のみ」の付いたもの。主に漢文訓読文末に用いられる) 「…のだ」「…ばかりだ」のように、強く断定する意を表わす。漢文の「而已」「耳」などの訓として行なわれた。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)一〇「人天を利せむとして、地より而も涌出すらくのみ」
[語誌]この「らく」は本来、二段動詞やカ変・サ変動詞などのク語法として成立したもので、「ら」は、これらの動詞の連体形語尾「る」の変化したものと見られるが、例えばサ変における「すらく」は、「すら‐く」よりも「す‐らく」と分析されやすく、「らく」が終止形に付く一つの接尾語と考えられるようになった。その結果「らくのみ」も一つの訓読語形として独立して、四段の終止形やラ変の連体形にも付くことになった。別にラ行四段やラ変動詞のク語法による「らくのみ」がある。

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