翳文句(読み)かざしもんく

精選版 日本国語大辞典 「翳文句」の意味・読み・例文・類語

かざし‐もんく【翳文句】

〘名〙 (「かざし」は、おおい隠すことで、ある文句を隠すために使う文句の意) 謡曲の文句に忌みはばかるものがあるとき、他の文句にかえてうたう文句。一種の忌み詞。「鉢の木」の「松はもとより煙にて薪となるはことわりや」の「松」を、徳川氏の別称である松平にはばかって「松はもとより常盤にて薪となるは梅・桜」とかえてうたい、また、祝言などで「高砂やこの浦舟に帆をあげて月もろともに出汐(いでしお)の」を「入汐(いりしお)の」と直してうたう類。かざし。

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