納物(読み)おさめもの

精選版 日本国語大辞典 「納物」の意味・読み・例文・類語

おさめ‐もの をさめ‥【納物】

〘名〙
君主領主などに納める物品。また、税。租税
書紀(720)仁徳六七年一〇月(前田本訓)「是に天皇、夙に興夜寝まして、賦(みつき)を軽くし、斂(ヲサメモノ)を薄くして、民萌(おほむたから)を寛にし」
② 注文の品を受け取る相手に届けること。また、その品。
※人情本・恋の若竹(1833‐39)中「今日は屋敷の納物(ヲサメモノ)も済まし、用向も片附きたれば」
③ 神社、仏閣に奉納する物品。
※慶長見聞集(1614)三「きんらん、錦などは古き宮寺のおさめ物を袋に縫て入置しを」
葬式に行くことをいう、塗師仲間の隠語
洒落本・品川楊枝(1799)「なァにけいしがとまったやうになってゐらァ、おさめ物に行かざァなるめへ(此けいしがとまったとは、死んだ事、おさめものとはとぶらひに行をいふ)」

のう‐もつ ナフ‥【納物】

〘名〙 君主・領主や寺社にものを納入すること。また、そのもの。おさめもの。
東大寺要録(1134)七「大仏殿納物〈略〉金銅燈炉一基」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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