笠寺跡(読み)かさでらあと

日本歴史地名大系 「笠寺跡」の解説

笠寺跡
かさでらあと

[現在地名]桜井市大字笠

笠山坐かさやまにいます神社の下にあった寺院で、鷲峰山竹林ちくりん寺と号し、俗に笠寺と称した。「和州旧跡幽考」には「笠荒神、長谷より一里ばかり山のおくなり。霊鷲山、竹林寺といふ」とあり、「大和志」にも竹林寺として同様の記述がある。寺伝によれば聖徳太子開基といい、あるいは役小角とも、良弁ともいう(大和志料)。「大和志」には「明応六年化縁簿曰大臣不比等創建」とする。さらに京都東寺の塔頭観智かんち院所蔵の仏菩薩図像などに「鷲峯山院大和国城上郡、又笠寺長岡大臣」とあることからすれば、その本願主は「長岡大臣」とよばれた藤原永手とも考えられる。建久八年(一一九七)の「多武峯略記」には「加佐寺 旧記云、加佐寺者准胝観音霊応地也、白木寺 旧記云、白木寺者如意輪観音霊応地也、件二箇寺、在長谷滝蔵奥、先年為野火被焼失、仏像者依為本寺、即送当寺、今安中寺矣」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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