笑い祭(読み)わらいまつり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「笑い祭」の意味・わかりやすい解説

笑い祭
わらいまつり

祭りに関与する人たちが、神事として笑うことを特色とする祭りの俗称。名古屋市熱田(あつた)神宮の5月4日の酔笑人(えようど)神事は「オホホ祭」「於賀斯(おかし)祭」という。神輿渡御(しんよとぎょ)神事の前夜神職が、神面を扇で軽くたたいてオホホと三度笑い、他の者も大声で三度笑う。和歌山県日高郡日高川町の丹生(にう)神社の10月の第2日曜日に行われる丹生祭は、笑い祭といわれ、祭りの日の朝、二つの集落の者が笑いの挨拶(あいさつ)を交わし、行列を組んで社前に行く。そこで長老が「笑いなされや、お笑いなされ」というと、一同が声をあわせて笑う。これは丹生の神が出雲(いずも)への旅立ちに遅れた失策を笑うのだという。兵庫県西脇(にしわき)市八幡(はちまん)神社の秋の祭りも笑い祭という。当人(とうにん)が神前で黒塗りの角棒を担いで三周し大笑いをするという。これら笑い祭には共通の要素が少ないが、遠来の尊い神と土地の精霊との和合の形を、氏子たちが追体験として実演しているものとみることもできる。

[井之口章次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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