竜門様式(読み)りゅうもんようしき

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「竜門様式」の意味・わかりやすい解説

竜門様式
りゅうもんようしき

中国の竜門石窟の造像様式北魏は洛陽遷都後に竜門石窟を開いたが,その様式はインド風が影をひそめ,中国風全盛となって,そのまま南北朝を通じての基本的な様式として定着した。最も古い古陽洞では古い伝統も残すが,賓陽洞や蓮華洞になると竜門独自の特色が現れてくる。賓陽洞本尊は華麗な光背を背に,裳裾は台座の前に垂下して裳掛座 (もかけざ) を形成し,顔には古拙微笑 (→アルカイック・スマイル ) をたたえている。竜門の仏像は痩身細面で目鼻立ちは鋭く,全体に扁平で肉体よりも仏衣の表現が重視され,衣文 (えもん) は繁雑で抽象化している。そのために内観的,神秘的雰囲気の仏像が多い。石質の堅緻な竜門では仏像の彫りは細かい。

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