穴水(読み)あなみず

改訂新版 世界大百科事典 「穴水」の意味・わかりやすい解説

穴水[町] (あなみず)

石川県北部,鳳珠(ほうす)郡の町。人口9735(2010)。能登半島の中央部に位置する。標高100~300mの奥能登丘陵が海岸に迫り七尾湾北湾に面した南部の海岸線はリアス海岸をなし,小又川河口の穴水港を中心に市街地が形成される。808年(大同3)まで駅が置かれ,中世には地頭長氏の城があり,江戸時代まで奥能登の行政の中心地であった。中居は中世から明治に至る鋳物の産地で,中居鋳物師として知られた。のと鉄道の輪島方面と蛸島(たこじま)方面の分岐点で,1959年の能登線(のと鉄道)開通までは奥能登へのバス交通の基地であった。しかし2001年穴水から輪島,05年穴水から蛸島までののと鉄道は廃止となった。農業を基幹産業とするが,林業にも依存し,アテ(アスナロ)材の生産が多く,木材市場,製材工場が立地する。中京・関西方面への出稼ぎも多い。海岸一帯は能登半島国定公園に含まれ,七尾湾ではカキ養殖が行われる。明泉寺の石造五重塔は重要文化財。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報