祖母懐・姥懐(読み)うばがふところ

精選版 日本国語大辞典 「祖母懐・姥懐」の意味・読み・例文・類語

うば‐が‐ふところ【祖母懐・姥懐】

〘名〙
① (うばに抱かれているところの意から)
(イ) 安全な場所。
(ロ) 風のこない暖かい場所。とくに、南面の山ふところをなす地形で、日だまりの地をいう。また、このような土地は製陶に適していたところから、陶土を産する場所の地名として呼ばれた。尾張国(愛知県)瀬戸地方のものが有名だが、現在では「そぼかい」と称している。
② 瀬戸地方の土で作った茶入れ一種。二代目藤四郎がこの良土で茶入れを作ったと伝えられている。〔俚言集覧(1797頃)〕
③ 没落した武士若殿乳母とが住んだという伝承をもつ地。また、その伝説。全国に点在する。
※俳諧・独吟一日千句(1675)第一「油垢ひゆる水ゆく芳野川 月こそ移れ姥かふところ」

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