石貫穴観音横穴群(読み)いしぬきあなかんのんよこあなぐん

日本歴史地名大系 「石貫穴観音横穴群」の解説

石貫穴観音横穴群
いしぬきあなかんのんよこあなぐん

[現在地名]玉名市石貫 安世寺

繁根木はねぎ(錦川)中流域の熊野神社に近い阿蘇泥溶岩の断崖に三基の大型の横穴と右やや下方に一基、上部の藪の中に小型の一基の五基からなる横穴群。大型の三基のなかで中央の横穴には浮彫千手観音中世の十一面観音石像があって穴観音とよばれ、今も信仰の対象となっている。同横穴は羨門部に三重の飾縁を設け、その外周りの二重はアーチ形をしている。この部分に赤色円形と三角形との連続文様が描かれている。内部奥壁には本瓦葺の廂を思わせる石屋形作り付けて彫出し、正面には軒丸瓦のような円筒状突起五個が付けられている。墓室左右にはそれぞれ舟形屍床を設け、これにも作り付けの廂を彫出している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報