矢先・矢前・鏃(読み)やさき

精選版 日本国語大辞典 「矢先・矢前・鏃」の意味・読み・例文・類語

や‐さき【矢先・矢前・鏃】

〘名〙
① 矢の端。鏃(やじり)
書紀(720)綏靖即位前(熱田本訓)「倭の鍛(かぬち)部天津真浦(まうら)をして真麛(まかこ)の鏃(ヤサキ)を造らしめ」
② 矢の飛んで来る前面。矢の当たる所。矢おもて。
※源平盛衰記(14C前)一一「命を捨てて矢前(ヤサキ)に立って振舞ひしかども」
弓矢をもって戦うこと。矢いくさをすること。
※浄瑠璃・国性爺後日合戦(1717)五「返事は互にやさきの時、帰れやつとぞ仰ける」
④ 矢を射る方向。転じて、ねらう目あて。ねらい。まと。
日葡辞書(1603‐04)「Yasaqino(ヤサキノ) コマカナ ヒト〈訳〉上手に弓を射る、すなわち、的を誤らない人」
⑤ 事のまさに始まろうとする時。ちょうどその時。とたん
※虎明本狂言・節分(室町末‐近世初)「そのやさきに、おてをかくるでもなし」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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