真言律宗(読み)シンゴンリッシュウ

デジタル大辞泉 「真言律宗」の意味・読み・例文・類語

しんごん‐りっしゅう【真言律宗】

律宗一派真言宗教義を旨とし、四分律梵網戒ぼんもうかいを併せて修学する宗派鎌倉時代睿尊えいぞんを祖として興る。総本山奈良市西大寺

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精選版 日本国語大辞典 「真言律宗」の意味・読み・例文・類語

しんごん‐りっしゅう【真言律宗】

〘名〙 律宗の一派。空海宗祖とし、興正菩薩叡尊(えいぞん)派祖とする。真言宗の教義を旨とし、三聚浄戒作法によって、大小乗戒を併せて修学するもの。明治五年(一八七二)の太政官布告以降、真言宗の所轄に属していたが、同二八年に分離独立し、奈良の西大寺を本山として今日に至っている。

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改訂新版 世界大百科事典 「真言律宗」の意味・わかりやすい解説

真言律宗 (しんごんりっしゅう)

奈良西大寺を総本山とする宗派。宗祖は弘法大師空海,派祖は興正菩薩叡尊(えいそん)。真言宗の教義に基づいて小乗戒・三昧耶(さんまや)戒の大小乗戒を遵守することを本旨とする。1201年(建仁1)大和国添上郡箕田里に興福寺の学侶慶玄の子として生まれた叡尊は,醍醐寺などを経た後,1225年(嘉禄1)大和長岳寺において霊山院阿闍梨静慶から密教の行法を伝授されたが,35年(嘉禎1)戒律の受学を決意し,西大寺に入った。以後,西大寺を本拠として,近畿各地で戒律宣揚のための授戒などを精力的に行い,また非人救済に努めた。叡尊は多くの弟子・帰依者を得たが,弟子として信空,忍性(にんしよう)などが,帰依者としては葉室定嗣,亀山上皇,後深草上皇,後宇多上皇などが著名である。信空は叡尊の後継者となり,また忍性は関東に活躍し,さらに全国分寺を西大寺の子院とした。16世紀末期以降,明忍,円忍,慧猛,普摂,浄厳らが出て,宗勢は大いに発展した。1895年西大寺を総本山として真言宗から独立し,今日に至っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「真言律宗」の意味・わかりやすい解説

真言律宗
しんごんりっしゅう

空海が中国から伝来したと伝えられている仏教の一宗派。『有部律』を所依とし,『蘇悉地経』 (3巻) ,『蘇婆呼経』 (3巻) を加え,三摩耶戒を立てている。明忍が慶長年間 (1596~1615) にこれを唱え,慶安年間になって浄厳が宗風を高めた。寛政年間に慈雲尊者が改革して,正法律と称し,真言律宗が大成した。河内の高貴寺を本山としてのちに真言宗に属したが,1895年に独立して奈良西大寺を本山とした。

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世界大百科事典(旧版)内の真言律宗の言及

【称名寺】より

…神奈川県横浜市金沢区にある真言律宗の寺。山号は金沢山。…

※「真言律宗」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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