目銭(もくせん)(読み)もくせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「目銭(もくせん)」の意味・わかりやすい解説

目銭(もくせん)
もくせん

「めぜに」ともいう。鎌倉・室町期に徴収された税の一種。(1)荘園(しょうえん)領主が年貢銭の収納に際して、悪銭の混入による目減り分を予測し、徴収した銭をいう。1401年(応永8)閏(うるう)正月、高野山(こうやさん)領相賀(おうが)荘では公事(くじ)銭を徴収する際に目銭を課している(高野山文書)。(2)港湾に設置された関で徴収された入津税のことで、商船目銭とも称する。1463年(寛正4)の『大乗院寺社雑事記(だいじょういんじしゃぞうじき)』には、興福寺では兵庫南関からの「商船目銭・札狩(ふだがり)税」の収入が、寺家直務(じきむ)であれば2000貫文になるところ、近年は代官支配のため700余貫文に減少したと記されている。(3)このほか、酒屋役、段銭(たんせん)についても目銭と称した。

[鈴木敦子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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